細胞外マトリクスタンパク質Reelinは、標的ニューロンに発現するアダプタータンパク質Disabeld1(Dab1)のSrcファミリーチロシンキナーゼによるチロシンリン酸化を誘導する事により、ニューロンの位置を決定しているものと考えられているが、その詳細な分子機構は不明である。私は、Reelin受容体がendocytosisに特殊化し細胞内輸送の制御を受けるリポ蛋白質受容体ファミリーに属する事から、Dab1の機能として受容体の細胞内輸送に関係しているとの仮説を立てて検証した。その結果、1.Dab1欠損ニューロンでのReelin受容体の細胞表面での発現は低下している、2.Dab1はReelin受容体の細胞表面への輸送を両者の相互作用を通じて促進する、3.Dab1のReelin受容体に対する親和性は細胞表面で著しく低下(もしくは消失)する、4.Reelin刺激後Dab1はReelin・受容体複合体に集積するが、Reelin受容体のendocytosis後、Dab1は受容体から解離する、5.Dab1のチロシンリン酸化は、Reelin受容体のendocytosisの開始を制御する、以上5点を明らかにした。これら結果は、The Journal of Biological Chemistryに既に受理された。さらに、これまでに同定した新規Dab1結合タンパク質(機能など不明な為、Dab1-associated protein clone 73[DAP73]と仮に命名している)のReelinシグナルにおける役割を明らかにする目的で、培養系を用いた生化学的解析、in utero electroporationによる移動未熟ニューロンへの遺伝子導入を行い、その表現系の組織学的解析を進めた。
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