1)PC-12細胞のERにおけるcaspase-8局在の確認:ショ糖密度勾配遠心分離を用いた細胞分画法により得られた各膜フラクションにおいて、抗caspase-8抗体によるウェスタンブロットを行い、PC-12細胞におけるcaspase-8の細胞内局在を調べた。その結果ER膜フラクションにもcaspase-8と思われるバンドを検出したが、正確な分子量を確定するまでは至らず、procaspase-8なのかそれともprocaspase-8L等のバリアントであるのか詳細な検討が必要となった。ラットにおけるcaspase-8バリアントの報告は初めてとなるため慎重に解析を進めている。そのため、caspase-8抗体を用いた蛍光顕微鏡観察による、caspase-8のPC-12細胞におけるER局在性の確認も結論は出せていない。 2)ERストレス由来アポトーシスにおける各caspase familyの活性:ERストレス由来アポトーシスをTunicamyc in(N-glycosylation阻害剤)、Thapsigargin(ER局在Caポンプ阻害剤)等のERストレスインデューサーを用い誘導し、procaspase-12の切断活性化が確認できる条件下で、蛍光基質を用いcaspase familyの活性のタイムコースを調べた。実行caspaseであるcaspase-3が活性化されているにも関わらず、両薬剤処置群のミトコンドリアcaspaseであるcaspase-9の活性およびその経過に差異が認められた。そこでCaspase-9インヒビターを両薬剤と併用したところ、アポトーシスの抑制率に顕著な差が認められた。このことから少なくともある種のERストレス由来アポトーシス実行過程に、ミトコンドリアcaspase-9以外のcaspase-3活性化因子の存在が示唆された(投稿準備中)。
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