研究課題
昨年度メタノール資化性酵母による大量発現の構築に成功した白色木材腐朽担子菌Phanerochaete chrysosporium由来のβ-グルコシダーゼに関して反応速度論的解析を行い、加水分解と同時に糖転移反応が起こっていることを明らかにし、これまで基質阻害と考えられてきた現象が糖転移反応によるものであることを定量的に証明した。この結果はCarbohydrate Research 339号2851-2857頁に掲載された。さらに昨年度部位特異的変異の導入に成功したP.chrysosporium由来のセロビオース脱水素酵素は、昨年度作成した166番のフェニルアラニンをチロシンに置換した酵素(F166Y)に関して、定常状態における反応を調べるとともに、ストップトフロー分光光度計を用いて前定常状態における酸化還元反応を詳細に調べ、本酵素が電子伝達鎖反応によって酸化還元反応を行っていることを明らかにした。この結果は現在FEBS Journalに投稿中である。また、上述の部位特異的変異を導入した酵素に加えて、90番のチロシンをフェニルアラニンに置換した酵素(Y90F)、および90番のチロシンと166番のフェニルアラニン双方に変異を導入した酵素(Y90F/F166Y)を作成し、それらにおける電子伝達速度を詳細に調べた。その結果90番のチロシンが電子伝達に重要な役割を担っていることを明らかにし、その結果を第55回日本木材学会大会において発表した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
Carbohydrate Research 339
ページ: 2851-2857
Journal of Bioscience Bioengineering 98
ページ: 57-63
木材学会誌 50
ページ: 1-9
Cellulose Communication 11
ページ: 35-38