当初の計画通り、すでに遺伝子工学のモデル株として確立しているブドウ球菌のいくつかの株を用い、細胞表層結合性のタンパク質、プロテインAの提示を可能なプラスミドpRIT5の形質転換を成功させた。現在、使用している株は形質転換に最も信頼のあるS.aureusだが、今後、毒性のないS.carnosusへの形質転換を遂行していく。carnosus TM300株はすでに形質転換の実績があり、報告もあるので問題なく可能である。重金属環境として工業廃水を提案しているが、現在、産業廃棄物処分場における実排水をすでに採取して単なるモデル研究にならないための研究対象の収集を行った。現在、これらの産業廃棄物処分場での生育可能な菌の分離や菌叢解析も同時並行で行っているが、分離された菌の中には重金属などへの相互作用を有する菌も期待できるので、全ての分離菌についてカルチャーストックを作製した。将来的には、これらの分離菌の中から新規な重金属等有害物質吸着性タンパク質を同定できるかも知れない。今後、これらの実排水を用いての実験を来年度の最優先課題として実施していきたい。
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