研究課題
本研究は、産業廃棄物処分場などから排出される重金属汚染浸出水などの汚染水質の浄化法の一つとして、微生物細胞の金属吸着能に着目した。細胞表面に様々なタンパク質を提示させる技術は、現在、多くの研究者が行っているところであり、細胞表層工学と呼ばれている。表面に金属吸着性のペプチドを提示させることで細胞自体を吸着剤として機能させることができるはずである。そのために、今回、細胞表面に様々なタンパク質を吸着させることのできるプラスミドベクターpRIT-5に対して、金属吸着性ペプチド、ヒスチジンの5および10残基の連続鎖をコードする人工遺伝子を挿入することに成功した。よって当初の目標であったプラスミドの構築は達成された。しかし、もう一つの目標であったStaphylococcus camosusへの形質転換、Bacillus subtilisへの形質転換を達成することはできず、今後の課題として残ることになった。また、一方で、より汚染環境に適応力があり、新規な分解系や吸着能、吸着特異性を有するかも知れない新菌の探索に乗り出している。産業廃棄物処分場には、調べてみると一般土壌と全く異なった菌叢が存在しており、それらの中には、Bacillus属しか見られないような極端なものもあることが分かった。今回、Bacillus属への形質転換を試みた理由もそこにある。将来的には、ストレスに非常に強く、汚染環境においても十分に細胞吸着能を発揮できるBacillus属で複製されて機能するプラスミドの構築を目指したい。
すべて 2004
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北九州工業高等専門学校研究報告 第37号
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Proceeding of the 3^<rd> Asian-Pacific Landfill Symposium in Kitakyushu
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