菌根菌のカドミウム耐性を評価するために、カドミウム存在下における菌根菌胞子の発芽を検討した。供試したGigaspora margarita及びGlomus intraradicesとも、カドミウムとして1mg/Lを含む塩化カドミウム水溶液中で50%程度阻害された。またこれ以上のカドミウム濃度では以上な発芽形態を示す胞子が観察された。イネ科のバヒアグラスおよびマメ科のミヤコグサをカドミウムとして0・2・5・10mg/kgを含む土壌を用い、菌根菌未接種・G.margarita接種・G.intraradices接種条件下で栽培したところ、いずれの区でも植物の生育および菌根菌の感染にカドミウムによる阻害は認められなかった。栽培後の植物体カドミウム濃度は土壌カドミウムの増加に伴い増加した。菌根菌接種区のカドミウム濃度は非接種区より低かった。しかし菌根菌接種区では接種効果による植物生育の著しい促進が認められたため、カドミウム吸収総量としては逆に非接種区より高くなった。従って今年度の試験結果からは菌根菌が宿主のカドミウム吸収に及ぼす影響を考察することは難しい。そこで次年度は菌根菌非接種区にリン酸を施用し植物体の生育を揃えた上でカドミウム吸収量を比較する。またメッシュを用いて培土中に菌糸が存在し植物根は存在しないコンパートメントを設定し、そこにカドミウムを施用することで菌糸のカドミウム吸収を評価する。さらに重金属に長期暴露された環境からより重金属耐性の高い菌根菌株を分離する。
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