研究概要 |
光学活性N-フタロイルアミノ酸誘導体を架橋配位子として組み込んだロジウム(II)を用いた不斉C-Hアミド化反応について検討を行い、以下の知見を得た。 1.(4-ニトロフェニルスルホニルイミノ)フェニルヨーディナンを用いた環状芳香族炭化水素のベンジル位C-H結合のアミド化反応において、Rh_2(S-PTTL)_4のフタルイミド基上の水素原子を塩素原子で置き換えたRh_2(S-TCPTTL)_4を触媒に用いると、遷移金属錯体触媒を用いた不斉C-Hアミド化反応としては文献上知られる最高値に匹敵する88%の不斉収率が得られることが分かった。また、エチルベンゼン誘導体のベンジル位C-H結合へのアミド化反応では、ベンゼン環上の電子供与性置換基の増加に伴い不斉収率が向上することが分かった。 2.環状ケトン由来のシリルエノールエーテルを基質とした場合、銅やルテニウム等の遷移金属錯体触媒を用いると二重結合へのアジリジン化を経てα-アミノケトン誘導体が選択的に得られるが、本反応にRh_2(S-TCPTTL)_4を用いると、位置およびエナンチオ選択的にアリル位C-H結合への挿入反応が進行し、β-アミノケトン誘導体が不斉収率68%で得られることが分かった。また、環状α,β-不飽和ケトンの連続型ヒドロシリル化-アリル位C-Hアミド化反応にRh_2(S-TCPTTL)_4を適用したところ、シリルエノールエーテルを基質とした場合と同程度の収率・不斉収率が得られ、ロジウム(II)錯体を用いた不飽和ケトンのヒドロシリル化反応において二核ロジウム(II)錯体が再生していることが明らかになった。現在、本反応の不斉収率向上と適用系拡張を目指し検討中である。
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