1.Amdl^<-/->ES細胞株を得るためにノックアウトマウス作製時に分離したAmdl^<+/->ES細胞のloxP-neo^r-loxPをCreの一過性発現により欠失し、Amdlターゲッティングベクター再導入により相同組換え体の分離を行った。ポリアミン存在下、非存在下による約300コロニーのスクリーニングの結果、1クローンのAmdl^<-/->ES細胞株を分離する事に成功した。この細胞はポリアミン非存在下において、Amdl^<+/->ES細胞に比べ、50%ほどに増殖率が減少していた。また、細胞内ポリアミン量は、プトレスシン量がおよそ10倍の増加を示し、スペルミジン、スペルミン量はそれぞれ1/2、1/10に低下していたが、完全な枯渇は示さなかった。今後、生合成の欠損によっても枯渇していないポリアミンの供給源である可能性のポリアミン輸送活性が増加しているかどうかの検討、更には、ポリアミン量低下による細胞増殖阻害に関わる分子の同定を進める。 2.ポリアミン生合成酵素阻害剤を用いてポリアミンを枯渇したマウスFM3A細胞において合成の低下を示す蛋白質を二次元電気泳動により検討した結果、熱ショック蛋白質や細胞骨格蛋白質など8種を同定した。これらの蛋白質のmRNA量はあまり変化しておらず、ポリアミンにより翻訳制御を受ける分子である可能性が示唆された。 3.B細胞由来WEHI231細胞はNOドナーであるSNAP処理によりポリアミン低下を伴ったアポトーシスを示した。そこで、同じくポリアミン低下を伴うIgMによるアポトーシス誘導を行った場合、iNOS mRNAの発現誘導をNorthern blottingで確認したが誘導されなかった。この事から、WEHI231細胞のNOによるアポトーシスはポリアミン低下を引き起こすまでのシグナルがIgMによるアポトーシスと異なっている事が示唆された。
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