TAK1はTNF-αやIL-1などの炎症性サイトカインにより活性化され、転写因子NF-κBやAP-1を活性化する。TNF-αによるTAK1活性化機構を明らかにするため、TAK1の自己リン酸化に注目して検討を行った。我々はすでにTAK1活性化ループ内のThr-187がTAK1活性化に必須であることを明らかにしており、今回リン酸化Thr-187特異的TAK1抗体を作製した。その結果、TNF-αによるTAK1活性の誘導とThr-187リン酸化の経時変化がほぼ一致し、リン酸化が活性化に関与していることが明らかとなった。また、TAK1の活性化因子TAB1によるThr-187リン酸化は、TAK1の分子間自己リン酸化によるものであることが明らかとなった。 次に、TNF-αによるTAK1活性化の下流シグナル伝達系に対する効果について検討した。TAK1に対するsiRNAを導入し、NF-κBおよびJNK/p38活性化について検討した結果、TAK1 siRNAはTNF-αによるNF-κB、JNK/p38活性化を強く阻害した。一方、NaClによる浸透圧ストレスによるJNK/p38活性化にはTAK1はほとんど関与していなかった。また、TNF-αによるNF-κB活性化においてNF-κB p65サブユニットSer-536のリン酸化が関与しているが、これにもTAK1→IKKシグナル伝達系が関与していることが明らかとなった。 さらに、TAK1/TAB1をヒトT細胞株Jurkatに過剰発現させると、IL-2産生が誘導されることが明らかとなった。 以上のように、TAK1はTNF-αシグナル伝達系において、NF-κBやAP-1活性化の分岐点に位置する重要な分子であることが明らかとなった。したがって、本分子の病態における役割を今後解析し、病態制御分子としての役割を明らかにしていく予定である。
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