研究概要 |
レクチンと糖タンパク質の相互作用は生体内で非常に重要な役割を担っているが、ガレクチンのように弱い相互作用をするものもある。このため重要な生理機能をもつ生体内リガンドが従来のアフィニティカラムなどによる単離法では同定されていない可能性がある。本研究ではレクチンとリガンド糖タンパク質の架橋試薬による架橋法を確立し、新たな生体内リガンドの単離をめざした。 ヘテロな認識タンパク質としての機能が予想されているガレクチンLEC-1は同一ポリペプチド内に2箇所の糖結合ドメインを繰り返しもっている。X線結晶解析のデータから、タンパク質の外側表面を向いていてかつ親水性であり、糖結合部位に比較的近い(認識されている糖タンパク質との結合は妨げず、かつ2価性架橋試薬により架橋が可能になりそうな位置を予測する)アミノ酸をN末端側レクチンドメイン、C末端側レクチンドメインより8個ずつ選んだ。まず初めに、変異導入後の塩基配列再確認が容易に行えるよう、LEC-1のcDNAに2箇所塩基配列置換を導入し(アミノ酸配列は変化させない)、各レクチンドメインそれぞれについて別々の鋳型を用いて,Cys残基導入の変異が行えるようにした。これを新たな鋳型として、選んだアミノ酸1箇所ずつをCysに置換したCys残基導入LEC-1のcDNAを16種類(各ドメインごとに8種類ずつ)の構築・塩基配列確認が進行中である。今後はこれらをタンパク質発現用プラスミドに導入し、大腸菌を用いてCys導入LEC-1を大量発現させる。糖結合能が失われていないものについて、Cys特異的架橋試薬を用いた、ガレクチンリガンドの架橋実験を行う予定である。
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