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2004 年度 実績報告書

細胞膜受容体ノックアウトマウスを用いた生理活性リゾリン脂質の生理機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15790066
研究機関国立精神・神経センター

研究代表者

石井 功  国立精神・神経センター, 遺伝子工学研究部, 室長 (90292953)

キーワードスフィンゴジン1リン酸 / 受容体 / ノックアウトマウス / てんかん / マイクロアレイ / 神経細胞死 / グリオーシス
研究概要

S1P2ホモ欠損マウスの遺伝的背景をC57BL/6Nに近づけていった結果、3週齢から5週齢にかけて自発的散発的なてんかん発作が観察され、おそらくその結果としての35%のホモ欠損マウスの個体死が観察された。8週齢以降まで生き残るホモ欠損マウスにおいては、4週齢以降に顕著な成長遅延が観察されたが、これはてんかん発作が観察され始める時期と一致する。この時期の神経系の正常な発達にS1P2が関与していると考えられる。したがって8週齢以降まで生き残るS1P2ホモ欠損マウスも、おそらくは死に至らずともその時期にてんかん発作や神経細胞の異常興奮を示しており、それにより蓄積されたストレスの影響による成長遅延が起こると考えられる。マイクロアレイ法、Taqman PCR法、免疫染色法により、頻発する神経異常興奮による神経細胞死を示唆するAP-1転写因子遺伝子群(c-fos, fosb, junb)の発現減少や、それに付随するGliosisを反映するGFAPの発現増大が、大脳皮質あるいは海馬で検出された。これら遺伝子の発現変化は、マウスてんかん誘導モデルとして汎用されているカイニン酸によるてんかん発症後にも観察されるものである。観察したS1P2ホモ欠損マウスの大脳皮質・海馬における遺伝子発現の変化は、脳内の大きな可塑的な変化といえる。今回調べた範囲では、S1P2ホモ欠損マウスに運動協調性、学習能力などの行動に異常は見られなかった。しかしながら、S1P受容体作働薬の臨床応用への期待が高まっている今、S1P2受容体の機能欠損がてんかん発症や神経興奮などの作用を起こしうることは重篤な副作用につながる可能性を示唆する点で極めて重要であり、今後さらに詳細な行動解析を続け、てんかん発症メカニズムを探る。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Murine cystathionine γ-lyase : conplete cDNA and genamic sequences, proroten activity, tissue distribution and developmental expression2004

    • 著者名/発表者名
      Isao Ishii
    • 雑誌名

      Biochemical Journal 381

      ページ: 112-123

  • [雑誌論文] Abnormal lipid metabolism in cystathionine β-synthase-deficient mice, an animal model for hyperhomocysteinemia2004

    • 著者名/発表者名
      Kazuhiko Namekata
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 279

      ページ: 52961-52969

  • [雑誌論文] The S1P_2 receptor negatively regulates PDGF-induced motility and Proliferation

    • 著者名/発表者名
      Sravan K.Goparaju
    • 雑誌名

      Molecular and Cellular Biology (印刷中)

  • [図書] 実験医学増刊号「脂質研究の最前線」(スフィンゴシン1リン酸の多彩な生理作用)

    • 著者名/発表者名
      Isao Ishii
    • 出版者
      羊土社(印刷中)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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