タンパク質の結晶化には、純品なタンパク質が大量に必要なので、大腸菌を用いて大量に発現させるような最適な誘導条件を検討した。結果、30℃で6時間誘導を行った際にSAHHが一番多く発現されることがわかった。次に、最適な精製条件の検討を行った。今回は、精製を容易に行えるように、SAHHのN末端側にヒスチジン6残基からなるヒスチジンタグをつけて、発現させるような発現系を構築し、それを用いる。大量培養し、菌を破砕してHiTrap Chelating HPカラムにSAHHを吸着させ、イミダゾールの濃度をグラジュエントで徐々に上げていきSAHHが溶出されるイミダゾールの濃度を確認した。その結果50mMイミダゾールで溶出される事がわかった。上記のSAHHをイミダゾールで溶出した後に、Superdex G-200を用いてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、純品のSAHHをえる事が出来た。えられたSAHHを濃縮し、結晶化スクリーニングを行ったところ、タンパク質濃度4mg/mLで、1.1〜1.2Mクエン酸ナトリウム、0.1M HEPESバッファー(pH7.5)を含むリザーバー溶液にて0.5×0.2×0.5mm^3の大きさの板状結晶が得られた。この結晶を用いて、筑波の高エネルギー加速器研究機構や、播磨のSPring-8の施設を利用し、低温下でX線回折実験を行い、強度回折データを収集した。
|