研究概要 |
天然に存在するチミジンから容易に合成可能なd4Tをトリブチルチンメトキシドを用いてビススタニル化した。このものを強塩基であるリチウムテトラメチルピペリジドと処理したところ、60%の州率で3'-スタニル体をえることが出来た。また、2´フェニルスルフェニル化したd4T誘導体をメチルマグネシウムブロミドと反応させたところ効率的に2´-Grignard中間体を与えた。このものを引き続きヨウ素またはトリブチルチンクロリドと反応させ、良好な収率で2´スタニル体を得た。更に3´ファニルスルホニルd4Aをトリブチルチンヒドリドを用いるラジカル反応にふしたところ、高収率で3´-スタニルd4Aをえることが出来た。これらスタニル体は各種官能基変換に付すことにより、各種2´,および3´ハロゲノまたは炭素置換d4ヌクレオシド類へ変換した。現在これら化合物の抗HIV作用に関する実験を行っている。またこれら一連の研究の過程において見い出した脱硫的スタニル化反王を利用し、新規5´炭素置換アデニンヌクレオシド誘導体を合成した。本化合物はS-anenosyl-L-homocysteine hydrolase(SAHase)の強力な阻害剤である5´-フルポロ4´,5´-ジデヒドロアデノシン(DZZFA)の構造類縁体であることから、新規SAHaseの阻害剤としての興味が持たれる。現在SAHaseに対する阻害活性についても併せて検討している。
|