遺伝子導入マウスを用いたin vivo 変異原性試験系によるインディルビン誘導体の抗変異原活性の検討 平成15年度の本研究において、1)ヒトAh受容体発現酵母レポーター試験系においてAh受容体内因性リガンド候補化合物であるインディルビン(Idb)の5位フッ素置換体(5-F-Idb)がIdbと同程度のAh受容体活性化能を示すこと、2)Idb及び5-F-Idbは、ベンズピレン(BaP)との併用投与により、マウスにおいてCYP1A誘導に対し阻害活性を有していること、3)マウス小核試験において5-F-IdbはBaPによる小核誘発に対し抑制効果が有り、その活性はIdbよりも強いことを明らかにした。そこで今年度は、in vivo遺伝子傷害性試験系の1つである1acZ導入マウス(MutaMouse)変異試験系を用いて、5-F-IdbのBaPに対する抗変異原性効果を肝臓及び脾臓について検討した。 一群3〜4匹の7週齢雄性MutaMouseに、BaPを100mg/kgで単回腹腔内投与し、5-F-Idb併用群では5-F-Idb 5mg/kgを同時投与した。なお、コントロール群は溶媒であるオリーブオイルのみを投与した。投与後28日目にマウスを屠殺後、肝臓及び脾臓を摘出しDNAを抽出し、定法に従いλパッケージングし、ポジティブセレクションにより変異誘発率を算出した。 その結果、BaP単独投与群では、コントロール群に比べ肝臓で2.1倍、脾臓で4.4倍の変異誘発が見られたが、5-F-Idb併用ではこれらの2つの臓器におけるBaP誘発変異を抑制しなかった。即ち、BaPを用いたlacZ導入マウス変異試験系においては、5-F-Idbは抗変異原活性は認められなかった。
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