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2004 年度 実績報告書

ヒト肝臓における薬物輸送に関与するトランスポーターの寄与率の定量的評価法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15790087
研究機関東京大学

研究代表者

前田 和哉  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00345258)

キーワードトランスポーター / 肝取り込み / OATP / ヒト肝細胞 / 寄与率 / 胆汁排泄
研究概要

これまで、排泄側のトランスポーターの機能解析は、主に膜ベシクルか排泄トランスポーターを発現した細胞が用いられてきたが、膜ベシクルでは、輸送活性の小さい化合物の評価が困難であり、また、排泄トランスポーター発現系では、取り込みにもトランスポーターを要するような化合物の輸送の評価が困難である。従って、本年度は、主に肝排泄側のトランスポーターの寄与の解析を行うため、取り込み側に、基質選択性の広範な有機アニオントランスポーターであるOATP(organic anion transporting polypeptide)1B1を、排泄側に、multidrug resistance(MDR)1,breast cancer resistance protein(BCRP)のそれぞれを極性細胞であるMDCKII細胞に共発現した細胞株を構築し、以前に研究室内で構築された、OATP1B1/multidrug resistance associated protein(MRP2)の共発現系と併せて、有機アニオンの肝排泄の寄与率を検討した。その結果、今回用いた4種の化合物(estradiol-17β-glucuronide(EG),estrone-3-sulfate(ES),pravastatin, cerivastatinについては、いずれもすべての細胞でbasal側からapical側への方向性輸送が観察されたことから、これらは、すべてMDR1,MRP2,BCRPのいずれもの基質になることがわかった。以前にラットでMRP2が胆汁排泄の大部分を担っているといわれているEGやpravastatinについては、MRP2のクリアランスが、他の2種と比較して大きい値を示すことがわかった一方で、ES,では、BCRPが大きく、cerivastatinでは、MDR1,BCRPとも、ほぼ同じ値を示したことから、同じ有機アニオンでも、3種の排泄トランスポーターの相対的な寄与が異なることを明らかにした(論文投稿中)。また、肝疾患治療薬ウルソデオキシコール酸の肝輸送の寄与率の評価を行い、NTCP, OATP1B1,OATP1B3が代謝物により異なる寄与で肝細胞に取り込まれていることを見出した(論文投稿中)。この知見は、ある状況下(SNPs,薬物間相互作用など)で、特定のトランスポーターの機能が変動したときに、肝輸送がどのように変化するかを考察する上で有用な情報となりうると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Contribution of OATP2(OATP1B1) and OATP8(OATP1B3) to the hepatic uptake of pitavastatin in humans2004

    • 著者名/発表者名
      Hirano, M. et al.
    • 雑誌名

      J Pharmacol Exp Ther 311(1)

      ページ: 139-146

  • [雑誌論文] 共発現系を用いたヒト胆管側膜に発現するトランスポーターの寄与率の検討2004

    • 著者名/発表者名
      松島総一郎 ほか
    • 雑誌名

      薬理と治療 32 suppl.2

      ページ: S233-S237

  • [雑誌論文] ヒト肝臓の胆管側膜における有機アニオン系化合物の排泄に関与するトランスーポーターの寄与率の検討2004

    • 著者名/発表者名
      松島総一郎 ほか
    • 雑誌名

      薬学雑誌 124,supp1.4

      ページ: 345-348

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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