1.駆「オケツ」薬により、「オケツ」病態が顕著に改善した患者血清の確保 これまでに、「オケツ」病態であるリウマチおいて、駆「オケツ」薬として用いられる桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)の服用による60症例の「オケツ」病態の改善および非改善の患者血清を確保できた。この症例は、リウマチの改善状況を示す生化学的検査に加え、科学技術庁研究班による「オケツ」診断基準の作成したオケツスコアー情報も保持している。そのため、漢方医学診断基準(証)の客観的評価法の構築に関しては、非常に質の高い臨床サンプルである。 2.桂枝茯苓丸投与前後の血清のプロテオミクス解析 上記患者血清に関してプロテインチップシステムを使用して、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)の服用により「オケツ」病態が顕著に改善した患者(オケツスコアーにより判定)の、桂枝茯苓丸投与前後の血清のプロテオミクス解析を行い、情報を解析中である。 3.八味地黄丸投与前後の糖尿病発症ラットにおけるプロテオミクス解析 WBN/Kobラットは、膵内分泌および外分泌系の障害により糖尿病を発症する。糖尿病が発症すると、多飲、多尿、尿糖、高血糖、耐糖能低下、痩せの一途をたどり、白内障、腎症、神経症などの合併症を併発する。糖尿病も漢方の証においては、「オケツ」病態に含まれる。本モデルを使用して、八味地黄丸投与前後の糖尿病発症ラットにおけるプロテオミクス解析を行った。その結果、腎障害の改善を基準に、八味地黄丸投与による糖尿病改善および非改善群において、明らかに発現量の異なる数種類のタンパク質を確認することができた。現在、このタンパク質を同定中である。
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