研究概要 |
1.マウスCyp3a41遺伝子5'隣接領域の単離 DDBJの遺伝子データベースよりマウスCYP3A41 cDNAと完全に一致する遺伝子配列(contig NW 017337)を見出し、それを基にプライマーを設計し、C57BL/6Nマウスの染色体DNAを鋳型とし遺伝子断片を単離した。増幅できたDNA断片は5'上流3,669塩基を含む全長3,871塩基の断片であった。 2.マウス初代培養肝細胞におけるCyp3a41遺伝子のホルモンによる発現調節 レポーターアッセイにおける受容細胞として使用可能か否か検討する目的で、マウス初代培養肝細胞におけるホルモンによるCyp3a41遺伝子の発現調節について解析した。その結果、マウス個体において観察される成長ホルモン(GH)、グルココルチコイドによる協調的調節が初代培養肝細胞においても観察された。即ち、(1)GHの添加によって発現が増加した。(2)デキサメタゾン(合成グルココルチコイド)によっても発現が増加した。(3)両ホルモンを同時に添加すると、相乗的に発現が増加した。(4)抗グルココルチコイド(RU-486)を用いることにより、Cyp3a41遺伝子の調節が、他の遺伝子、例えばヒトCYP3A4遺伝子やマウスCyp3a11遺伝子の様にPXR(Pregnane X Receptor)を介したものではなく、グルココルチコイド受容体の介在によるものである事が明らかになった。以上より、マウス初代培養肝細胞が解析に使用可能であることが示された。 3.マウスCyp3a41遺伝子5'隣接領域を用いたin vitroレポーター遺伝子アッセイ 1で単離した遺伝子断片(-3669〜+61あるいはその一部)をpGL3 basic vectorに挿入し、レポータープラスミドを作製した。その結果、-844塩基までを含むコンストラクトでは遺伝子の転写が観察され、さらに上流域を含むと転写が抑制されるという結果となった。-844塩基までにはC/EBP,AP1,CREB, STATなど他のCYP遺伝子の肝における発現への関与が指摘されている転写因子の推定結合配列が存在するため、Cyp3a41遺伝子においてもそれら因子による調節の可能性が考えられた。しかし、これまでの検討においてGH、グルココルチコイド依存的遺伝子転写が観察されず、次年度の課題となった。
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