研究概要 |
本年度は、adriamycin(ADR)・docetaxel(DOC)併用療法をモデル併用療法とし、時間治療を評価する過程で、まず併用による副作用及び抗腫瘍効果におよぼす投薬順序及び投薬間隔の影響を検討した。 1.マウスを対象に週1回の反復投与を計4回行い毒性死による35日目の生存率を評価したところ、同時投与群(ADR/DOC)で22.2%、ADR12時間前投与群(ADR-DOC)で34,5%、DOC12時間前投与群(DOC-ADR)で85.6%であり、DOC-ADR群で有意な生存率の向上が認められた。 2.乳ガン細胞を移植したマウスを対象に抗腫瘍効果を評価したところ、control群と比較し投薬全群で抑制傾向を示したが、DOC-ADR群のみで有意な腫瘍増殖抑制が認められた。 ADR投薬のわずか12時間前に抗癌剤のDOCを投与することによって生じる劇的な死亡率(毒性死)の改善や抗腫瘍効果の増強は大変興味深い現象であり、この研究報告はClinical Cancer Research10:762-,2004に掲載された。 また、この成果に時間薬理学的手法を加味して併用療法を評価する前に、ADR,DOCそれぞれ単剤投薬における副作用への影響を評価した。ADRでは21:00、DOCでは9:00に投薬することで、副作用を1日の中で最も軽減できることが明らかとなった。 現在、これらの結果を考慮し、最適なADR・DOC併用におけるスケジュール(投薬順、投薬間隔、投薬時刻)の構築を検討している。
|