研究課題
TBPIP分子にGreen fluorescent protein(GFP)を結合した分子をCOS-7細胞内に強制発現することにより、核内でのTBPIP分子の動向に変化を認め、その動向について検討を行った。GFP分子と結合した全長TBPIP分子をCOS-7細胞内に強制発現した場合、核内にドット状に分布することを見いだした。TBPIP分子の中心部に存在する86から117アミノ酸のロイシンジッパーモチーフを欠損させた変異型TBPIP分子をCOS-7細胞に強制発現した場合、この核内のドット状分布は消失した。以上より、TBPIP分子のロイシンジッパー部分が、核内でのTBPIP分子の動向に重要な役割を果たしていると考えた。さらに、このドット状の分布は核内のどのような構造物に相当するか、免疫細胞化学法により検討した。この細胞をヘテロクロマチンのマーカーとして用いられる、メチル化ヒストンH3の対する抗体を用いて、ドット状のTBPIP分子との関係を検討したが、ヘテロクロマチンとは重ならない傾向を認めた。また、このドット状の構造物は、転写因子として重要なCBP300と局在する傾向を認めたが、CBP300の細粒状の構造物とは一致しない傾向を認めた。以上の結果より、この核内構造物の性質に関しては、現在まで、明らかにできていない。また、他の研究者と共同にて、TBPIP分子はDNAと結合し、その結合には核移行シグナルを含む118から182アミノ酸の塩基性領域が必要であることを明らかにした。また、TBPIP分子は減数分裂時に重要な相同染色体の対合反応を促進する作用があり、その作用には先ほどの塩基性領域が必要であることを報告した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (1件)
J.Biol.Chem 279
ページ: 35263-35272