ヒト好酸球におけるPC-PLC(ホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC)の細胞内Ca^<2+>濃度変化に及ぼす影響と脱顆粒における役割をPI-PLC(ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC)と比較して検討した。比較するにあたって、PC-PLC特異的阻害剤であるD609とPI-PLC特異的阻害剤であるET-18-OCH_3を用いた。 1.PI-PLC、PC-PLC阻害剤はともにfMLP刺激によるEPO (Eosinophil peroxidase)放出を抑制した。 2.Amplex redを用いたPC-PLC activity assayにおいてPC-PLC阻害剤はPC-PLCの活性化を抑制したが、PI-PLC阻害剤はPC-PLC活性に影響を与えなかった。 また、PI-PLC阻害剤はIP_3産生を抑制したが、PC-PLC阻害剤はIP_3 (inositol triphosphate)産生に影響を与えなかった。 3.PI-PLC阻害剤は細胞内Ca^<2+>濃度上昇を抑制したが、PC-PLC阻害剤は影響を与えなかった。 4.PKC (Protein kinase C)阻害剤はfMLP刺激によるEPO放出を抑制した。 以上の結果より、PI-PLCはPKC活性化とCa^<2+>influxをダウンレギュレートすることによってヒト好酸球の脱顆粒を抑制している。一方、それとは対照的にPC-PLCは細胞内カルシウム濃度の変化に非依存的に脱顆粒を制御していると考えられた。
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