研究概要 |
ラット摘出血管におけるNPYとその他の血管収縮物質の協調作用と、血管における各神経伝達物質受容体発現の相関を明らかにした。 1.ラット摘出血管による血管収縮実験。 (1)ラットより、頚、上腕、大、大腿、尾の各動脈と、頚、上腕、下大、大腿、尾の各静脈を摘出し、NPY,フェニレフリン(PE)、セロトニン(5-HT)、ヒスタミン(HA)にて血管収縮動態を検討したところ、動脈では収縮がPE>5-HT>HA=NPYであり、静脈では5-HT=NPY≧PE>HAであった。 (2)NPYと上記3つの血管収縮物質との協調作用を検討したところ、5-HTとは協調作用を示さず、PEでは大腿、尾動脈でのみ協調作用を示した。 (3)収縮にかかわる受容体を薬理学的に拮抗薬を用いて検討したところ、NPYでは主にY1、5-HTでは主に5-HT_<2A>、HAではH_1であったが、アドレナリンα_1受容体のサブクラス(A,B,D)は血管の部位によって異なっており、大腿動脈では主にα_<1D>が、尾動脈では主にα_<1A>が機能していると思われるデータが得られた。 2.RT-PCRによる受容体の同定、半定量 NPYと協調作用の見られたHA,PEについてそれぞれ受容体に発現しているmRNAを同定したが、HAでは、H_1〜H_4のうちH_1のみの発現を認めた。アドレナリンα_1受容体についてはA,B,D全てのサブクラスを検出し、上記1.(3)での機能受容体とmRNA発現との相関を認めなかった。また、NPYについてはY_<1,2,4,5>のうち、Y_1受容体mRNAの発現を認めた。
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