研究概要 |
Gタンパク質共役型受容体(以下GPCRと略す)は、進化的に保存された膨大な数からなる大きなファミリーを形成している。それらはホルモンや生理活性分子の受容体として機能し、癌をはじめとした種々の疾患の原因遺伝子である例も知られている。また、今日市販されている医薬品の中にはGPCRの作動薬や拮抗薬が数多くあり、現在使われている医薬品の50%近くがGPCRをターゲットにしていることから、GPCRファミリーは非常に注目度の高い分子群である。我々は、膜貫通領域の構造はGPCRファミリーB(タイプ2とも呼ばれる)に属し、かつ細胞外領域が非常に長いGPCRが、その遺伝子の長さと複雑なエキソン-イントロン構造のためにまだほとんど機能解析が進んでいないことに着目した。そこで、ヒトゲノム情報をもとに新規GPCRをコードする領域を同定し、ヒトおよびマウスのcDNAクローニングを行い、DREGと命名した。DREGは成体においては肺で高い発現が見られること、さらにマウスの初期胚において発現が高いことを明らかにした。また、DREGはプロセシング(タンパク質切断)を受けることが予想される配列を有しており、このことをDREGのアミノ酸置換変異体あるいはヒトIgGのFc領域とのキメラタンパク質を作製することで示した。さらに別の部位でプロセシングを受けることを見い出し、この切断にはproprotein convertaseファミリーが関与していることを明らかにした(Moriguchi et al.,2004)。一方、DREGの個体レベルでの機能を明らかにするためにノックアウトマウスを作製したところ致死になることが明らかになった。現在、ノックアウトマウス表現型の詳細な解析を続けるとともに、DREGの細胞外領域と結合する分子の探索を進めている。
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