オステオポンチン(OPN)は、骨組織のマトリックスを構成する主要な非コラーゲン性タンパク質として同定きれた分子量約41kDaの分泌型酸性リン酸化糖タンパク質である。分子中央部にはインテグリンとの細胞接着に重要とされているGRGDS配列と、その直後には炎症に関与するα9、α4インテグリンと結合するSVVYGLR配列が存在する。OPNは細胞接着、細胞遊走、一酸化窒素(NO)産生の制御、免疫系への関与など多彩な機能が報告されてきており、癌転移、リウマチ関節炎やEAEなどの慢性炎症疾患、自己免疫疾患など多くの難治疾患病態と関与することが示されている。 OPNは分子中央部にトロンビン切断部位が存在する。トロンビンで切断されたOPNのN末側は、RGDやSVVYGLR配列を有し、機能解析が進んでいるが、C末側の機能は不明である。当研究室では、C末側に細胞接着活性を見出し、その接着が癌の悪性度と相関することを見出している。そこでC末側の合成ペプチドを用いて解析した結果、新規結合領域を同定することができた。また、受容体は二価イオン要求性から、インテグリンであることが推察された。事実、抗β1インテグリン抗体を用いた細胞接着阻害実験から抑制効果を確認することが出来ている。しかしながら、α鎖は阻害抗体を用いて同定しようと試みたが抑制できる抗体は見出せていない。現在、異なるインチグリンを発現する細胞を用いて解析を進め、同時に、インテグリン遺伝子をクローニングすることにより、新規結合額域に接着するインテグリンを同定しようと考えている。 この研究の進行する過程において、OPNに対する多くの抗体や動物モデルを作製し、OPNがリウマチや肉芽種など多くの炎症性疾患発症に関わることを見出した。OPNに着目した医薬への可能性を示すことができた。
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