子宮内膜、胎盤におけるPPARgammaの生理的役割の解明並びに子宮内膜癌及び子宮内膜増殖症におけるPPARgammaの病因・病態との関連解明を目的として、本年度は、子宮内膜の正常各期、胎盤、各分化度の子宮内膜腺癌および子宮内膜増殖症症例において、PPARgammaの発現に関する免疫組織化学的検索を行なった。ホルマリン固定パラフィン包埋切片を使用して、子宮内膜正常増殖期、子宮内膜正常分泌期、卵巣、胎盤、及び、その他の正常臓器一通りに関して、また、病変としては、子宮内膜腺癌(高分化型、中分化型、低分化型)、子宮内膜増殖症、卵巣癌、及び、比較として結腸癌、膀胱癌、腎癌に関して、免疫組織化学的にABC法を用いて検討した。結果として、子宮内膜増殖期5例はいずれも免疫組織化学的にPPARgamma陰性、子宮内膜分泌期もPPARgamma陰性であった。一方、胎盤にはPPARgamma陽性像が得られた。卵巣間質の一部もPPARgamma陽性であった。肝臓、脾臓、心臓、肺、腎臓、大動脈、副腎、膵臓等の正常臓器では陰性であったが、胃腺窩上皮の一部に陽性像を認めた。病変に関しては、子宮内膜腺癌では、高分化型腺癌4例ではいずれもPPARgamma陰性であったが、中分化型腺癌2例はいずれも陽性、低分化型腺癌1例も陽性であった。一方、卵巣癌、結腸癌、膀胱癌の各1例および腎癌2例は陰性であった。子宮内膜増殖症もPPARgamma陰性であった。現在、子宮内膜正常各期、内膜腺癌各分化度及び増殖症の各型ごとに症例数を増やして更に解析を進めている。
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