研究概要 |
胃癌はLaurenらによるintestinal type carcinomaとdiffuse type carcinomaに分類されることが多い。intestinal type carcinomaは腺管形成傾向の明瞭な癌で、本邦でいう分化型腺癌に対応する。一方、最近では、胃癌を粘液形質の観点から胃型、腸型及び混合型に分類することが多くなってきた。今年度は、分化型腺癌のうち、胃型腺癌に焦点をおき、胃型腺癌及び胃型の胃癌関連病変におけるゲノムの変化をCGHにより解析した。 1)胃型腺癌13例のCGHを行った結果、低異型度のものを含む全症例で相当数の染色体異常が確認でき、共通するものが多く存在した。この中で、17q gain,20q gain,18q lossなど主に進行胃癌を対象としたCGH法によるゲノム解析で高頻度に報告されているものと同様の染色体異常に加え、6q loss及び15q26 ampなど胃型腺癌に特徴的と思われる染色体異常が高頻度に検出された。 2)幽門腺腺腫に発生した胃型腺癌の症例に対し、腺腫と腺癌の部分をLM200 laser capture microdissection system(Arcturus, CA, USA)を用いてとりわけ、DOP-PCR法を用いてDNAを増幅後、CGHを行った。その結果、腺腫成分では、20q gain及び6q lossが認められたのに対し、腺癌の成分では、上記に加え、17q21-q23 gain,15q26 amp,9p21-p23 lossが検出された。これらの染色体異常における候補遺伝子としては、それぞれ、HER2/neu,FES,p16のが示唆された。また、今回のCGHの結果から、幽門腺腺腫-腺癌seqnenceが証明された。
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