1.肝内胆管癌におけるラミニンγ2鎖の発現 肝内胆管癌外科切除105例とdysplasia26例において、抗ラミニンγ2抗体を用いた免疫組織化学的染色により、ラミニンγ2鎖発現分布を発育形態別に検討した。肉眼型の優性像により管内発育型(IG)9例、胆管浸潤型(PI)8例、腫瘤形成型(MF)88例に分類され、ラミニンγ2鎖発現は基底膜、細胞質、腫瘍間質の3型の分布を認めた。基底膜型の発現は、dysplasia、IG、PIでは70%に、MFでは20%に認められた。また高分化型の癌で高率に基底膜型の発現を示した(p<0.05)。細胞質型では癌細胞発育先進部や、癌-間質境界部に発現し、IG例の微少浸潤例やPIおよびMFの70%に発現していた。腫瘍間質型の発現は浸潤癌細胞周囲に認められ、低分化型癌、血管浸潤陽性群、リンパ節転移陽性群で高率であり(p<0.05)予後不良であった(p=0.0006)。以上より肝内胆管癌におけるラミニンγ2鎖発現は腫瘍進展形態により異なる発現分布を示し、その腫瘍間質での発現は予後不良ぐあると考えられる。(Modern Pathology in Press) 2.肝内胆管癌における14-3-3蛋白発現の役割 肝内胆管癌における14-3-3蛋白発現腫瘤形成型88症例を対象として14-3-3抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、腫瘍細胞における陽性率30%以上を陽性群、陽性率30%未満を陰性群とし、この2群間における臨床病理学的因子の比較検討を行った。88症例中、14-3-3蛋白陽性を61例(69.3%)、陰性を27例(30.7%)に認め、リンパ節転移は、陽性群16例(26.2%)、陰性群13例(48.1%)と、陰性群で有意に高率に認められた。1年、3年、5年生存率は、陽性群72.6/47.9/35.1%、陰性群48.0/18.7/18.7%で、陰性群で有意に不良であった(P=0.0068)。多変量解析にて独立予後不良因子は1y(p=0.0001)、組織学的低分化(p=0.0113)、14-3-3_蛋白発現減弱(p=0.0148)であった。14-3-3蛋白発現が減弱していた陰性群ではリンパ節転移が高率で、その生存率も有意に不良であった。肝内胆管癌のリンパ節転移や生命予後に14-3-3蛋白の発現減弱が関連していると考えられる。
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