転写因子iinterferon regulatory factor-2欠損マウス(IRF2^<-/->)では、生後約8週より炎症性皮膚疾患が発症する。この炎症性疾患におけるIgE及び肥満細胞の役割を検討するために、IgEを欠損するSTAT6遺伝子欠損マウス及び皮膚の肥満細胞欠損マウスであるW^v/W^vマウスをそれぞれIRF2^<-/->マウスと交配し、二重欠損マウスを作成した。その結果、IRF2^<-/->×STAT6^<-/->マウス、IRF2^<-/->×W^v/W^vマウスは共にIRF2^<-/->マウスと同様に炎症を発症した。この結果は、IRF2^<-/->で認められる皮膚炎にIgEや肥満細胞が必須の因子ではないことを示すものである。病変組織では、肥満細胞が表皮近くに存在することが確認できるが、炎症の2次的な反応として肥満細胞が遊走してきているものと考えられる。また、興味深いことにIRF2^<-/->マウス、IRF2^<-/->×W^v/W^vマウスの皮膚において、ヒスタミン産生酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)が誘導されており、.これは肥満細胞によって産生されているのではなく、浸潤している活性化単球系細胞がHDCを発現しており、皮膚炎の発症に重要である可能性が示唆された。他方、病理組織で真皮深部に単球系の細胞浸潤が認められることから、皮膚炎発症における単球系細胞の役割を検討した。表皮に存在するランゲルハンス細胞(LCs)はhRF2+マウスでは減少しており、特にCD4^+LCs細胞が欠損していた。末梢のリンパ組織においてもCD4^+の樹状細胞(DCs)が減少しており、皮膚炎の発症時期及び発症の有無に相関することから、DCsの分化過程と皮膚炎の因果関係について現在検討中である。また、これまでの研究においてIRF2^<-/->マウスの皮膚炎はIFNやCD8^+細胞が、必須の因子であることをすでに報告している。IFNシグナルやリンパ球欠損マウスとIRF2の二重欠損マウスを作成し、抗原提示細胞の分化異常や皮膚組織において、炎症性の遺伝子発現に関して検討している。
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