これまでの研究から、異系B生細胞をマウスに投与すると、NK細胞依存性の細胞傷害の後、CD8^+ DCが捕捉すると同時に活性化することが明らかである。そこで、移植免役応答におけるNK細胞を介するDCの抗原提示と免疫制御機構を解析することを目的に以下の研究を行った。 1.アシアロGM1(αGM1)処理でNK細胞を除去しても死細胞はDCによって捕捉された。そこで、αGM1処理群と非処理群において異系死細胞を捕捉したCD8^+ DCの表現型を検討したところ、MHCクラスIや共刺激分子の発現強度は非捕捉DCに比べて共に上昇傾向が認められたが、MHCクラスIIの発現上昇は処理群において低かった。一方、CD8^- DCでは両群とも表現型の変化はなかった。また、死細胞投与マウスから調製したCD8^+とCD8^-のDCサブセットによるサイトカイン産生を測定した結果、αGM1処理群のCD8^+ DCによるIL-6やIFN-γなどの炎症性サイトカインの産生量が非処理群に比べて低下していた。 2.次に、αGM1処理群と非処理群のマウスに死細胞を移入し、生体内DCの移植免役応答における役割をDTHとCTL誘導を指標に検討した。その結果、処理群においてDTHの有意な低下を認めた。また、処理群のマウスから調製したCD4^+ T細胞では移入した死細胞と同系マウス由来DCに対する増殖応答ならびにIFN-γ産生の低下も検出された。しかし、CD8^+ T細胞の応答性は処理群と非処理群で有意な差が認められず、さらに両群でCTLが誘導されることも確認された。 以上の結果より、異系細胞を認識して活性化し、DCの成熟を誘導するNK細胞の除去は、IDCを介するCD4^+ T細胞活性化の低下に繋がるが、CD8^+ T細胞活性化に及ぼす影響は低いと考えられる。但し、in vivoでのCLT誘導実験に関しては今後さらに詳細な検討を加える予定である。
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