RANKLによる分化刺激を与えても破骨細胞に分化しないマウスRAW264細胞と、そのサブクローンで効率よく分化するRAWsub細胞から、それぞれRANKL刺激前後に調製したmRNAを用い、GeneChip解析でRAWsub細胞のみで発現変化があると判定され、かつ破骨細胞分化に関して未報告の遺伝子について、改めてRT-PCRとノザン分析により発現変化を調べた。その結果、RAWsub細胞においてのみRANKL刺激によって発現が上昇する、6遺伝子を最終的に同定し、OSE遺伝子と名づけた(OSE1〜6)。データベース検索の結果、ひとつ(OSE6)はコード領域不明でまったく機能予測ができなかったが、他は転写制御(OSE1、3、4)およびシグナル伝達(OSE2、5)に関与していると予想される蛋白質をコードしていることがわかった。また、TNFαおよびIL-6による刺激の有無で発現変化を調べた結果、OSE1〜6はいずれも変化がなかったので、OSE遺伝子の発現上昇はRANKL刺激による破骨細胞への分化に特異的なものであることが明らかになった。これらの結果から、OSE遺伝子が破骨細胞分化に関連した遺伝子であることが示唆された。そこでまずOSE1〜3について、配列情報をもとにしてRT-PCRにより全コード領域を含むcDNAをRAWsub細胞からクローニングした。これらcDNAを、C末端にタグ配列を付加しつつ、テトラサイクリン応答性プロモーターの下流に組み込み、発現ベクターを構築した。この発現ベクターを、別途作製した、RAWsub細胞のTet-Off細胞株に導入し、現在、発現誘導が可能な安定発現株をスクリーニングしている。
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