我々はこれまでに、IL-18が破骨細胞に直接作用し、骨吸収活性を抑制することを明らかにした。また、破骨細胞の分化におけるIL-18の作用は、単独又はIL-12と協調してT細胞に作用して破骨細胞の分化を抑制することが報告されている。近年クローニングされた破骨細胞分化因子(RANKL)とマクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)を用いることで卓球/マクロファージをin vitroで破骨細胞に分化させることができる。この系を用いることでT細胞を介さないIL-18の破骨細胞分化に及ぼす作用を検討することができる。そこで本研究では破骨細胞分化過程におけるIL-18の破骨細胞前駆細胞への直接作用とその分子機構を解明することを目的とした。 マウスの骨髄細胞をM-CSF(100ng/ml)存在下で4日間培養した後の接着細胞は、F4/80陽性の単一なマクロファージ細胞であった。このM-CSF依存性骨髄マクロファージはM-CSF(25ng/ml)とRANKL(25ng/ml)の存在下で4日間培養すると破骨細胞へと分化した。今回我々はこの分化誘導系を用いてIL-18(100ng/ml)が破骨細胞前駆細胞に直接作用して破骨細胞分化を抑制することを明らかにした。さらにRT-PCR法によりIL18が作用して発現量が変化するサイトカインを調べた結果、IFN-betaは発現量が減少し、TNF-alpha、IL-3は増加、IFN-gamma、GM-CSF、IL-1、IL-6は変化しなかった。そこでIFN-beta(100IU/ml)を培養時に添加したが破骨細胞分化に影響はなかった。さらにIFN-gamma及びTNF-alphaノックアウトマウスから単離したマクロファージを用いた場合では、IL-18の破骨細胞分化抑制効果は阻害されなかった。現在IL-18の破骨細胞分化抑制の分子機構の解析を進めている。
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