IL-6は細胞の増殖、分化、死などの様々な生理活性を呈する多機能サイトカインである。我々はIL-6サイトカインのシグナル伝達分子であるgp130に点変異を導入したF759マウスがリンパ球依存性の関節炎を発症することを明らかにした。このF759マウスには活性化T細胞の蓄積が認められ、IL-6添加によるAICD(activation-induced cell death)の減弱がin vitroで認められた。さらに、スーパー抗原であるSEBのマウス腹腔内injectionによりSEB応答性のVb8CD4 T細胞のin vivoにおけるAICDもF759マウスでは顕著に抑制された。そこで我々はSEB刺激によるVb8CD4 T細胞のAICDにおけるF759変異の役割を検討した。IL-6欠損マウスを用いた実験により、生体内のIL-6はSEBによるAICDを抑制する効果を有し、F759マウスではその効果が亢進していることが示唆された。さらにIL-6を欠損したF759マウスを用いた実験により、このAICD抑制効果はIL-6特異的なものであり、他のIL-6ファミリーサイトカインでは代償されないことが明らかとなった。T細胞移入実験によりF759マウスにおけるAICDの減少効果はT細胞自体のF759点変異によるものではなく周囲の環境の異常によるものであることが明らかとなった。さらに骨髄移植実験により、AICDの抑制効果は造血系由来の細胞のF759点変異によるものであり、非造血系細胞におけるF759点変異は必要ないことが示唆された。現在、どの細胞分画のF759点変異によってAICDが抑制されるのかを明らかにするために、細胞分画欠損マウス、細胞移入実験等を遂行している。
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