研究概要 |
本年度はトキソプラズマ・ピルビン酸キナーゼ・組み換えタンパクの結晶化を実施した。pGEXベクターを用いた大腸菌発現系は良好に組み換えタンパクを発現した。アフィニティー精製、イオン交換・ゲル濾過カラムの利用により、結晶化に適する十分な質と量の精製組み換えタンパクを得る事が出来た。 ハンギングドロップ法を利用した結晶化条件スクリーニングでは、ポリエンチレングリコールとATPの共存在下で板状結晶を得ることが出来た。そこでこの結晶を用いてX線による構造解析を試みたが、十分な強度のシグナルを得る事が出来ず、この結晶の構造解析は失敗した。同様の条件下で、よりX線解析に適した結晶を得るため、無重力下(宇宙空間)で同様の結晶化を試みた。しかしながら、スペースシャトル国際共同実験施設における結晶化スクリーニングでは、解析可能な結晶は得られなかった。 続いて、トキソプラズマ酵素に特異的な長いN末配列が結晶化を阻害している可能性が指摘されたため、N末の10,33,50アミノ酸を切断した組み換え蛋白をそれぞれ作成し、再び結晶化スクリーニングを試みた。このうち50アミノ酸切断蛋白について、PEG、KC1の存在下で六角柱状結晶が得られており、現在X線解析の準備を行っている。また、構造解析可能な上質の結晶を得るべく、さらなる結晶化条件のスクリーニングを進めている。
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