研究概要 |
これまでの研究結果として、低酸素分圧条件下にて球状化ならびに溶菌を起こした細胞における特異的なタンパク質の発現亢進を確認するとともに、遺伝子発現制御株を用いた解析により、本遺伝子産物である分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素複合体が本現象に関与している事を明らかにしている。また、遺伝子破壊株を用いた解析より、細胞死様の致死的細胞形態変化の誘導には、二成分制御系やECFシグマ因子を含む数多くのレギュレーターが関与している事が明らかとなりつつある。現在、上記の酵素産物である分岐鎖脂肪酸の本現象への関与を検討しており、これまでに、12-メチルテトラデカン酸(Anteiso-C15:0)ならびに13-メチルテトラデカン酸(Iso-C15:0)の二種の分岐鎖脂肪酸が、低濃度で細胞溶菌を誘導する結果を得ている。その研究結果は平成16年4月に開催される日本細菌学会第77回大会にて発表する予定である。本補助金の交付期間中に、枯草菌をモデルとした本現象の詳細な解析を進め、グラム陽性病原性細菌の増殖抑制につながる成果の獲得を目指したい。 なお、本研究に関するこれまでの成果報告として、平成15年4月に熊本市にて開催された第76回日本細菌学会にてワークショップ講演を行うとともに、研究結果をまとめた論文が英国のMicrobiology誌に掲載されている(Vol.149,issue 9,2501-2511)。また、平成15年10月に吹田市にて開催された日本微生物生態学会第19回大会ワークショップにおいて依頼講演を行っている。
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