抗原特異的エフェクターCD8T細胞誘導におけるインターロイキン(IL)-15の関与を明らかにするためIL-15トランスジェニック(Tg)マウスおよびIL-15ノックアウト(KO)マウスに卵白アルブミン産生Listeria monocytogenes(rLM-OVA)を感染させ抗原特異的CD8T細胞の動態を検討した。抗原特異的CD8T細胞は、MHCクラスIa拘束性CD8T細胞をOVA_<257-264>ペプチドK^b四量体、MHCクラスIb拘束性CD8T細胞をホルミル化ペプチドH2-M3四量体による染色で調べた。感染後の抗原特異的エフェクターCD8T細胞は、MHCクラスIbおよびMHCクラスIa拘束性CD8T細胞共に、いずれの時期においてもIL-15Tgマウスで増加しIL-15KOマウスで低下していた。しかし、OVA_<257-264>T細胞レセプターTgマウスのCD8T細胞(OT-I細胞)を移入し前駆細胞を同数にしてからrLM-OVAを感染させた場合、エフェクターOT-I細胞の絶対数はIL-15KOマウスおよびIL-15Tgマウスでコントロールマウスと顕著な差を認めなかった。このことから一次免疫応答でIL-15は抗原特異的エフェクターCD8T細胞の誘導には関与せず、むしろナイーブCD8T細胞の分化の段階でIL-15が関与している可能性が考えられた。今後更なる検討が必要である。 次に、二次応答におけるエフェクターCD8T細胞誘導におけるIL-15の関与を明らかにするためOT-I細胞を正常マウスに移入後rLM-OVAを感染させメモリー細胞を作製し、その細胞をIL-15TgマウスまたはIL-15KOマウスに移入後再感染させそれぞれのマウスでの二次応答を検討した。二次感染後メモリーOT-1細胞の絶対数および細胞分裂の動態はIL-15TgマウスおよびIL-15KOマウスともにコントロールマウスと顕著な差を認めなかったが、二次感染早期から細胞傷害活性がIL-15Tgマウスで増加しIL-15KOマウスで低下していた。また、rLM-OVA免疫マウスに二次感染早期にリコンビナントIL-15を投与したところ非投与群と比べて著明な菌の排除を認めた。以上のことからIL-15はメモリー細胞の維持のみならず二次感染早期のメモリー細胞の細胞傷害活性の誘導に重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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