腸管内や女性生殖器の常在菌の1つで、時に膿瘍や軟部組織、骨・関節から分離されるFinegoldia magna(旧名Peptostreptococcus magnus)の更なるゲノム解析を目指して、F. magna ATCC 29328株のBacterial artificial chromosome (BAC)ライブラリーを構築した。構築したライブラリーは385クローンから成り、平均サイズ55kbの外来DNAを含んでいた。これより、本ライブラリーは染色体DNAの10.1倍長を含むと推察される。BAC両末端塩基配列をもとに設計したプローブを用いたDot blot hybridizationを繰り返し行い、整列BACを構築した結果、染色体の95%をカバーする9つのcontigと、プラスミドの98%をカバーする2つのcontigを本菌株の物理地図上に構築できた。また、BAC両末端塩基配列の決定により、F. magnaで報告のない103の新規ORFを同定した。特にF. magnaの病原因子の一つであるアルブミン結合タンパクのホモログを見つけ、染色体上での位置を決定した。BAC両末端配列に基づく他菌種との相同性解析の結果、F. magnaはClostridium属、特にC. tetaniと近縁であった。本BACライブラリーは全ゲノムシークエンスプロジェクトやポストゲノムの研究に利用できる。
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