サルモネラ エンテリティディスは主要な食中毒細菌である。サルモネラ エンテリティディス食中毒事例関連株において、近年数%から10%程度分離されているアンピシリン+ストレプトマイシン2剤耐性株について、プラスミドの保有状況を調べた。その結果、1株を除きすべてが約50kbのプラスミドを保有していた。1株はさらにテトラサイクリンにも耐性で約600kbのプラスミドを保有していた。これらの中から代表的なものを選択し大腸菌K12を形質転換すると上記、50kb(および60kb)のプラスミドがアンピシリン耐性を有していることが明らかとなった。本50kbプラスミドからさらに6kbのEcoRI断片を、上記耐性遺伝子をコードする領域としてサブクローニングし、その構造を決定した。その結果、Tn3様の構造を持つトランスポゾンの存在が明らかになった。また、本プラスミドは伝達性を有し、これを別のサルモネラ エンテリティディス株に移すことによってファージ型が変化することが確認された。 上記2剤耐性株はいずれも同様のファージ型を示した。一方、パルスフィールドゲル電気泳動法によって各菌株の遺伝子型を調べたところ、多様なPFGEプロファイルが得られた。こうした結果は、上記プラスミドの伝播によって耐性株の分離頻度が上昇したことを示唆している。
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