本研究においては、まず、マウスリンパ節に存在する樹状細胞サブセットの分類を行った。そして、マウスリンパ節中のCD11c陽性樹状細胞をCD11bとCD8の発現で分類するとそれぞれの発現量に応じて5つのサブセットに分類できることがわかった。 T細胞の反応を抑制的に制御する樹状細胞を特定するため、リンパ節における各樹状細胞サブセットの免疫後の経時的な定量を試みた。T細胞反応が長期間遷延する突然変異マウスplt/plt(遺伝的背景はBALB/c)と野生型BALB/cマウスのリンパ節で比較した結果、plt/pltマウスでは2種類の樹状細胞サブセットが著明に減少していた。一方はCD11c強陽性CD11b弱陽性CD8α陽性で、もう一方はCD11c弱陽性CD11b陰性であった。前者は、リンパ系樹状細胞に類似していた。後者は、B220やLy-6G/Cなども発現しており、我々が最近同定した形質細胞様樹状細胞(pDC)であった。pDCのT細胞反応抑制機能に関しては全く未知であったので、本研究では同サブセットの機能解析を優先的に進めた。 pDCは、体内から回収した直後はサイトカインを産生せずT細胞反応に殆ど影響を与えなかった。しかし、pDCは、非メチル化CpG-DNAで刺激されると抑制性サイトカインであるIL-10を大量に産生した。さらに、CpG-DNAで刺激されたpDCは、ナイーブT細胞や他の樹状細胞で刺激されたT細胞の増殖を強力に抑制した。 次に、このpDCが、制御性T細胞を誘導できるか否かについて検討した。他の樹状細胞で活性化されたナイーブCD4T細胞は強い増殖反応を示すが、そこにCpG-DNAで刺激したpDCと共培養した後のCD4T細胞を加えると、ナイーブCD4T細胞の増殖は著明に抑制された。 以上の結果から、pDCは、T細胞の反応を直接的にも間接的にも抑制することが明らかになった。
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