活性化したVα14NKT細胞は様々ながん細胞に対する非特異的な傷害活性が判明し、ナチュラルキラー(NK)細胞様のがん細胞傷害活性を持つことが示された。NK細胞にはMHC class Iを認識する細胞傷害抑制レセプターがあり、傷害活性は、抑制レセプターのリン酸化したITIMモチーフにSHP-1が結合することによって抑制的に調節されている。NKT細胞にはCD1dを直接認識する抑制レセプターが存在し、それによって細胞傷害の調節がなされていることが明らかになった。 さらに、NKT細胞においてCD1d分子との反応後、SHP-1との結合が誘導されるタンパク質を見いだしたので、生化学的な解析を詳細に行った。その結果は次の通りであった。1.NKT細胞とCD1dを発現する標的細胞を共培養すると、SHP-1と結合する120kDのタンパク質のチロシンリン酸化が観察された。2.120kDのタンパク質に対するモノクローナル抗体(4A8 mAb)を作成し解析したところ、NKT細胞表面に発現が確認された。また、NK、T細胞の一部にも観察された。B細胞には発現していなかった。3.4A8 mAbで免疫沈降したところ、4A8 mAbに反応する120kDのタンパク質が検出された。4.CD1dを発現する標的細胞と共培養すると、120kDタンパクのチロシンリン酸化が検出され、この時、SHP-1の共沈も確認された。以上より、4A8 mAbはCD1dに対する抑制レセプターに対する抗体の可能性が考えられた。
|