研究概要 |
(1)発生量制約型患者動態モデルを用いた遠隔医療導入時の2次医療圏内患者移動分析 遠隔医療導入時の患者動態の変化を予測するために、昨年の構築した移動患者の総数を制約条件とする発生量制約型モデル(重力モデルの変形型モデル)を患者の受療行動に適用し、地図情報システム(GIS)上で分析した。分析対象は南渡島2次医療圏を対象とし、重回帰分析により到着市町村の医師数による吸引力の大きさを示す指標Xと市町村間の地理的距離抵抗の大きさを示す指標Yを推定した。更に、遠隔医療を導入した際の患者動態の変化予測を行った。全ての市町村でXよりもYが大きく、患者移動は到着市町村の医師数よりも距離が影響していると予測された。シミュレーションの結果、遠隔医療導入により10%の患者移動が発生した場合、その影響は少ないことと予想された。 (2)遠隔医療導入を想定した最短路解析モデルを用いた小児急病センターの適正配置 遠隔医療導入時の施設配置を検討するため、メディアン基準による最適配置モデルを構築した。重み付き総移動距離を小児人口の合計で割ったものを平均移動距離,患者居住地からセンターまでの距離が最も遠い市町村間距離を最大移動距離とし、センター数を6から21まで変化させ、それぞれの重み付き総移動距離が最小となる場合の平均移動距離,最大移動距離を算出した。配置数6の場合の配置は,現在の三次医療圏の中心となる6市に配置することが妥当であると考えられた。しかし,これら6市との距離が48市町村で100kmを超えており、患者の負担が大きいことが示唆された。配置数を6から増やした場合,配置数が10のときに平均移動距離は,配置数6のときの約3分の2となることが明らかになった。
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