研究者は、まず、インシデント報告の収集と分析を行うために、所属する三重大学医学部附属病院の安全管理室の協力を得て、本学におけるインシデシト報告のデータベース化することを目的に、必要な機材とソフトウエアの整備を行った。そして、定期的な会議を設定し、報告されたインシデント報告の分析を行った。平成15年度中に収集したインシデント報告数は、2500件を超え、さらに、会議において分析にかけられた重要なインシデント報告は、200件を数えている。その中から、今年度は、職員の研修教材として有用かつ有効なものとして、8つの事例をとりあげ、研修教材の資料としての活用を始めた。すでに、研修資料としての教材ビデオの作成を終えたものが平成16年3月末にて3本あり、そのうち、1本については、すでに平成16年度中に計5回の教職員を対象とする医療安全研修に実際に利用し、のべ250名の教職員がこの教材を用いた医療安全研修を体験した。同時に、教材としての利用価値を確認しながら、その完成度を高めるためのデータ収集を行い、フィードバックを繰り返している。今後、平成16年度中において、さらなる教材の作成を進め、教材ライブラリーとしての充実を図っていく予定である。 これらの教材は、平成16年度中において、さらに包括的に医療安全研修教材として利用する予定であるほか、卒前医学教育の教材としての活用も積極的に行う予定である。さらに、卒後臨床研修部の協力を得て、平成16年度より必修化となった卒後臨床研修の本学の研修プログラムの中にも取り入れ、さまざまな局面での利用を行っていく計画である。 以上の教育・研修活動における本教材の利用価値については、その客観的評価を行うために、研修効果に対する科学的なデータの収集を進め、学会発表、研究論文発表を行っていく所存である。
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