研究概要 |
平成15年度は,研究への症例登録,グルクロン酸抱合酵素(UGTlA1)遺伝子多型の判定,化学療法後の副作用評価,QOL (Quality of Life:生命・生活の質)の評価を行うことを予定とした. まず症例登録に先立ち,本研究は臨床試験として計画書を作成し,所属研究機関である埼玉医科大学倫理委員会による承認を経る必要があった.本年度は塩酸イリノテカン治療を受ける症例に対してUGTlA1を含む遺伝子多型の判定を行う研究,抗癌剤化学療法を施行される症例に対してQOL評価を行う研究について倫理委員会の承認を経ている.倫理委員会の承認,サンプル管理体制の整備,遺伝子多型の判定手順の確認に予想以上に時間を要したため,平成16年3月現在のところ症例登録は未だ行われておらず,今後は逐次症例登録を行っていく. 一方,末梢血からゲノムDNAを採取し遺伝子多型の判定を行うために,病棟および研究室でのサンプル管理体制,実際の遺伝子多型の判定を行うための確認作業を進めている.本研究では治療前に遺伝子多型を判定する必要があるため,末梢血採取から遺伝子多型の判定までを可能な限り早急に行う必要がある.計画では,ダイレクトシークエンス法およびPCR-RFLP (制限酵素切断長多型)法を用いた判定法を利用する予定であったが,これらの判定法では結果が得られるまでに数日を要するために実際の臨床現場での応用が困難であることが判明した.したがって遺伝子多型の迅速な判定法については,インベーダー法を応用したキットの利用など新しい簡便な方法を検討している.
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