研究概要 |
<対象> H16年度中に学内外から依頼のあった異常ヘモグロビン症疑い症例28検体 <方法> 異常ヘモグロビンスクリーニング法 第1段階:短時間(数分)での異常Hbの有無の検出 a)陽イオン交換カラムを使用した異常Hbの検出:従来法120分/1検体から新分離法25分/1検体に短縮。 b)エレクトロスプレー質量分析(現有設備)を使用した検出 c)不安定性ヘモグロビンの検出(イソプロパノールテスト) 第2段階:検出された異常Hbの構造解析 1)変異成分の分離 2)酵素消化 3)質量分析器による変異部位およびアミノ酸の同定 4)DNAシークエンシングによる変異の確認 5)酸素親和性の測定 <結果> 第1段階で正常9検体、異常ヘモグロビン症8種11検体、αサラセミア4検体、βサラセミア5検体を検出した。(うち1検体は異常ヘモグロビンとβサラセミアの複合ヘテロ接合体) 第2段階で異常ヘモグロビン症11症例の構造解析を行った。その結果、Hb Riyadh(β120K→N)4症例、Hb G-Szuhu(β80N→K)1症例、Hb Hikari(β61K→N)1症例、Hb E(β26E→K)1症例、Hb Shizuoka(β108N→H)1症例、Hb Sapporo(β143H→N,D)1症例、Hb Athens-GA(β40R→K)1症例、Hb SC(β6E→V,β6E→K)を同定した。Hb Sapporoは世界第2例、Hb Athens-GAは本邦第1例であった。HbEはβサラセミアとの複合ヘテロ体であり、外国人症例であった。HbSC症例は外国人で、来日して初めて鎌状化による塞栓症状を起こし死亡後、当方での分析の結果HbSC症であったことが判明した。
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