研究概要 |
総務省から目的外使用申請により入手した1990-1994年厚生労働省人口動態調査死亡票のデータと独立行政法人国立環境研究所に存在する1990-1994年大気汚染常時監視局の大気汚染物質測定データおよび気象庁の気象データを1時間単位で結合(リンク)する作業を行った。死亡者の性、年齢、市町村番号、死亡場所から直近の大気汚染物質(SPM,O_3,NO_2,SO_2)測定データおよび気象測定データ(気温、湿度)、死亡疾患コードからなるデータを作成し、その中から死亡時の居住地が東京、死亡疾患コード(ICD9:410)の急性心筋梗塞を抽出、「SPM1時間値が高濃度であった直後の急性心筋梗塞死亡が増加するか」という仮説に対し、予備的検討を実施した。検討法としてSPM高濃度を定義、高濃度後の影響期間を規定したもとで、高濃度後の期間における急性心筋梗塞の死亡リスクと、それ以外の期間の死亡リスクを算出、比の形(リスク比)で比較することで検討を行った。結果、SPM高濃度300μg/m^3、高リスク期間48時間とした場合の罹患率比は1.28(1.03-1.59)、高リスク期間を24時間にした場合1.20(0.90-1.60)、72時間では1.38(1.15-1.65)などのリスク比が得られた。気温の影響については死亡発生/非発生からさかのぼった一定期間の1時間値の平均を使用した。前記方法で気温の影響を調整した心筋梗塞の死亡リスク比は、気温の平均算出期間によらず一定であった。
|