一般住民の代表サンプル2000人に対し、24時間自由行動下血圧および家庭血圧測定を実施し、コホート研究により脳卒中発症リスクとの関連及び種々の遺伝・環境要因に関する検討を行った。 1.家庭血圧・24時間血圧と脳卒中発症リスクとの関連について (1)家庭血庄の測定回数と脳卒中発症リスクとの関連について検討を行い、家庭血圧の測定回数が増す程、脳卒中発症予測能が高まることを明らかにした。また、家庭で一回のみ測定した家庭血圧値でさえ、随時血圧2回の平均に比べて優れた脳卒中発症予測能を持つことを見出した。 (2)米国合同委員会の高血圧ガイドラインに準じた心血管危険度分類に基づいた場合の脳卒中発症リスク予測能は、家庭血圧値が随時血圧に比べ優れていた。早朝測定の家庭血圧と就寝前測定の家庭血圧値の予測能は同等であった。 2.遺伝要因と脳卒中発症危険因子との関連について (1)アンジオテンシンII2型受容体(AT2)遺伝子C3123A多型と家庭血圧・24時間血圧により定義された高血圧との関連について検討し、60歳以下の女性においてのみAアリル保有群で高血圧頻度が有意に低いことを明らかにした。 (2)β1アドレナリン受容体Gly389Arg多型と家庭血圧値および心拍数との関連について検討し、Argアリル保有群で血圧・心拍数が高値であることを発見した。 (3)酸化ストレス除去に関与するhOGG1遺伝子Ser326Cys多型と家庭血圧・24時間血圧により定義された高血圧との関連について検討し、Cysアリル保有群でSerアリル保有群に比べ有意に高血圧頻度が高いことを見出した。
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