本研究は幹細胞のマーカーとして新たに着目されたMsi-1の肝再生に関わる機能および個々の因子への作用を明らかにすることを目的とし、in vitroおよびin vivoでのMsi-1過剰発現モデルを作成し解析するものである。 1.安定細胞株の解析。 平成15年度に作成され、またalternative exonの存在が明らかとなったコンストラクトを導入したHEPG2由来のMsi-1過剰発現細胞株はそれぞれクローン化され、そのうち4つの株で継代を重ねた。それぞれの細胞株から抽出したRNAに対して半定量的RT-RCRを行ったところ、導入Msi-1遺伝子はほとんどが非常に低い発現を認めた。またそれぞれの株を用いたWesternブロット法によるMsi-1の蛋白発現においても発現量が少ないことが確認された。 以上の結果に対して、多数のクローン作成、及びスクリーニング導入細胞株の変更を行った。 2.コンストラクトは再度、リポフェクチンを用いて、HepG2細胞へ導入された。ベクター内在の薬剤耐性遺伝子を利用したG418による選択的な培養で得られた細胞は、それぞれのベクターに対して96個拾い出しそれぞれ多量のクローンを確立させた。3.コンストラクト導入はHuh-7に対しても行われ、同様に多量のクローンを確立した。しかしながらHuh-7においては細胞増殖が緩やかなため解析用の大量の細胞を冷凍蓄積しているところである。十分量のRNAと蛋白がそろいしだい発現量の解析を行う予定である。 4.なおクローン化した細胞をもちいた解析が上記のように困難であるため、一過性(トランジェント)のトランスフェクションを行った後の細胞群を冷凍保存してあるため、これらに対してのマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を同時に行う予定である。
|