リバビリン併用インターフェロン(IFN)療法は、従来のIFN単独療法に比べGenotype 1Bの高ウイルス症例に対しても有効とされている。これまでIFN単独療法の有効率とHCVのNS遺伝子の変異に相関があることが知られているが、リバビリン併用IFN療法とNS5Aの変異の関係は明らかではない。Genotype 1Bで高ウイルスのC型慢性肝炎34例において、リバビリン併用IFN療法を24週間行い、有効率とNS5Aの変異の関係を検討した。治療終了時点でのALT正常化は24例(70.6%)に見られたが、治療終了24週後の最終的な有効率は6例(17.6%)であった。NS5Aの変異と有効率の関係を見てみると、有効例はすべてNS5Aに変異を持った症例であった。NS5Aの変異数は有効例で平均4.5個で、無効例の平均1.1に比べ優位に変異数が多かった。また、ウイルス量は、有効例と無効例の間に差は無かった。以上より、リバビリン併用IFN療法においてもNS5Aの変異が有効率と密接に関わっている事が示された。 現在、HCVのcDNAレプリコンを用いた研究が多く発表され、HCVの基礎的研究が進められている。我々は、元来人工補助肝臓システムとして開発された3次元高密度培養装置であるラジアルフロー型バイオリアクター(バイオット株式会社)に着目した。本システムの特徴は、肝細胞をより生体に近い条件で培養できる点である。本システムを用いる事で、培養細胞へのウイルス感染とウイルス増殖さらに感染性のあるウイルス粒子の放出が期待された。我々は、このシステムを使ってHuh-7細胞を用いたHCVの感染実験を行うべく準備を進めた。3次元高密度培養には、5mlのハイドロキシアパタイトビーズを担体に用いた。5×10^6個のHuh-7細胞をメディウムに添加し培養すると、約4週間に渡って培養され、細胞密度は1×10^8個/mlとなった。他施設では、HepG2細胞を用いてアルブミンやAFPの産生も確認されている。また、HCVのcDNAレプリコンを3次元高密度培養で培養したHuh-7細胞に添加すると、NS蛋白の発現が確認されている。我々の施設では、残念ながら未だHCVの感染やウイルス蛋白の検出には至っておらず、今後の検討課題である。
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