(目的)PGC-1は、酸化的リン酸化、グルコース代謝、ミトコンドリアのエネルギー産生に関わる細胞内酵素を調節している。加えて、PGC-1はミトコンドリアの数と呼吸機能を調節している。心筋細胞において、エネルギー産生の源であるミトコンドリアの調節機構を解明する事を目的とした。(方法・結果)心筋細胞においてPGC-1の発現を誘導する刺激の検討をおこなうために、ラット新生児心筋細胞を用いてIsoproterenol、phenylephrine、17-β-estradiol(E2)、T3によるPGC-1の発現を調べた。心筋細胞を無血清条件下で12時間培養後、刺激を加えた。経時的にPGC-1の発現を検討したところ、刺激後12時間の時点で、RT-PCR法において、Isoproterenol(1μMおよ10μMとE2 (1μM)はPGC-1mRNAの発現を上昇させた。刺激後12時間では、E2刺激においてPGC- 1蛋白質およびcytochrorae C蛋白質の発現上昇も認められた。24時間以降では、IsoproterenolとE2によるPGC-1の誘導は認められなかった。また、phenirephrinとT3によるPGC-1の発現誘導は認められなかった。(まとめ)心筋細胞において、isoproterenol、E2によるPGC-1の誘導が認められた。今後は、更なる刺激の検討、および、IsoproterenolとE2による心筋細胞の細胞内シグナル伝達の解明を行なう予定である。
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