拡張型心筋症患者におけるPPARγの発現についての検討 A.補助心臓植え込み患者、心臓移植摘出心の心筋組織を用いた研究 1)NYHAIV度の重症心不全を呈し、補助心臓植え込み及び心移植を行った拡張型心筋症症例12例を用いて、心室筋におけるPPARα、PPARγ、PGC-1の遺伝子発現をRT-PCRを用いてmRNAレベルで明らかにし、またPPARγについては、免疫染色により、蛋白レベルでその発現を明らかにした。また、TransAM kitを用いて、PPARγ転写活性の確認を行った。重症例では、正常と比較しPPARα、PPARγ、PGC-1の発現が亢進し、特にPPARγついては、著明に発現が亢進していた。(P<0.001) 2)補助心臓植え込み前後で、4症例について上記と同様の検討を行い、左室減負荷後の、PPARα、PPARγ、PGG-1遺伝子発現の変化について検討を行った。減負荷により、心不全時に亢進していたPPARα、PPARγ、PGC-1の発現は著明に低下した。 B.心内膜心筋生検を用いた研究 1)NYHAI度からII度の拡張型心筋症、および、その他特定心筋症におけるPPARγの遺伝子発現についての検討を免疫染色により行った。病状の安定した拡張型心筋症においても、PPARγの発現は認められ、コントロールと比較し有意に発現増加を認めた。上記Aの重症例と比較すると、重症例で有意に遺伝子発現の増加を認めた。 C.臨床パラメーターとPPARγの相関関係 上記全症例におけるPPARγ発現量と、high-sensitive CRPおよびBNPとの相関関係と検討したところ、high-sensitive CRPと有意な相関関係を認めた。
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