研究概要 |
Lysyl oxidase familyは、コラーゲンやエラスチンの架橋反応を担う酵素であり、細胞外マトリックスの形成に重要である。我々は、DNA chipを用いた検討で圧負荷心肥大および容量負荷心肥大の両者で、lysyl,oxidase like-2(LOXL2)の発現が亢進していることを見いだした。不検討では肥大心でのlysyl oxidase familyの発現変化とその意義の解明を目的とする。今年度は、LOXL2の発現パターンや発現調節機構を検討した。ラットの圧負荷心肥大モデルでは、LOXL2の発現は7日から発現亢進がみられ、14,28日と発現が増大した。ラットの初代培養心筋細胞や心筋細胞セルラインであるH9C2細胞で、LOXL2の発現が確認され、心筋細胞自体にも発現していることがわかった。また液性因子による発現調節としては、norepinephrine, angiotensin II, endothelin-1のそれぞれで心筋細胞肥大に伴い濃度依存性に発現亢進がみられた。従ってLOXL2は、(1)正常心筋細胞で発現している、(2)圧負荷、容量負荷、ホルモン刺激を問わず肥大心で発現亢進がみられる、(3)心筋細胞においては、少なくともGq依存性アゴニスト刺激により、細胞肥大と共に発現が亢進する、の3点が明らかとなった。さらにlysyl oxidase family(LOXL1,2,3)のクローニングを行い、Gateway systemを用いてほ乳類発現ベクター、大腸菌発現ベクターを構築した。来年度はLOXL2が肥大心で発現が亢進する意義を、大腸菌を用いた発現系、アデノウイルスを用いた心筋細胞発現系、siRNAなどを用いて検討する。
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