研究概要 |
昨年度は、培養非小細胞がん細胞へのレトロウイルスの導入を行い、肺がん細胞を直接肺内に注入することにより同所性肺がんモデルマウスの開発に成功した。 本年度はこのウイルス導入非小細胞がん細胞および肺がんモデルマウスを用いて以下のことを行った。 1.培養非小細胞がん細胞(LL-2)へのレトロウイルスによるRhoC dominant-negative遺伝子治療 LL-2細胞においてRhoC遺伝子の発現をRT-PCR法を用いて確認した。Retrovirusvectorに3回重複感染させることで、1回では56%、2回では74%、3回では86%まで導入効率を上げることができた。RhoC dominant-negative遺伝子を作製し、レトロウイルスベクターを用いて肺がん細胞に導入した。フローサイトメトリーによりRhoC dominant-negative遺伝子が導入された肺がん細胞のみを選別した。 2.In vivo非小細胞肺がんRhoC dominant-negative遺伝子による転移抑制 同所性肺がんモデルマウスの作製に成功し、モデル作製後21日目において縦隔リンパ節重量は、RhoC遺伝子導入細胞投与群(RhoC群)773mg,RhoC dominant-negative遺伝子導入細胞投与群(dnRhoC群)206mg、非遺伝子導入細胞群(Parental群)は328mgでdnRhoC群はRhoC群(P<0.001),Parental群(P<0.05)に比較して有意に転移抑制を認めた。 3.RhoC遺伝子およびRhoC dominant-negative遺伝子のin vitro, in vivoにおける非小細胞肺がん転移抑制の分子機構の解明 遊走細胞数、浸潤細胞数とも、Parental群に比較してRhoC群で有意に増加(P<0.001),dnRhoC群で有意に減少(P<0.05)を認めた。
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